第2編 物質の変化

第1章 物質量と化学反応式


  1原子量・分子量・式量

 2物質量

 3化学反応式と物質量

 原子量・分子量・式量 

原子の相対質量】

 原子は,1個の質量が1023g程度と非常に小さく扱いにくい。そのため,原子の質量を考えるときは,特定の原子1個の質量を基準にして他の原子の質量を相対的に求める。そこで,今日では〔 質量数 〕が〔 12 〕の〔 炭素 〕原子12C 1つ(1.9926×1023g)の質量を〔 12 〕と決め,これを基準に他の原子の質量(相対質量)を求めている。質量数12の質量を12と定めて求めているので,相対質量はほぼ質量数と同じになるが,原子1個あたりの質量から求めるので厳密には質量数=相対質量ではない

 

例) 1H1つで0.16735×1023g)の相対質量

 
 

【原子量】

35Cl37Clのように,元素には,互いに質量数が異なる〔 同位体 〕が存在する。また,Cl原子の75.8%が35Clで,24.2%が37Clである。このように,同位体はそれぞれ存在する割合が決まっている。そこで,元素の同位体の割合を考慮して求めた平均の相対質量をその原子の〔 原子量 〕という。

 

例)Cuの原子量

 

例題 

自然界のホウ素には,相対質量10.010B原子が20.0%,相対質量11.011B原子が80.0%含まれているものとして,ホウ素の原子量を有効数字2桁で求めよ。

 

   10.0×0.20011.0×0.800 10.8 ≒ 11

 

【分子量・式量】

 CO2H2Oなどの分子からなる物質の相対質量を〔 分子量 〕という。またNaClCa(OH)2などのイオンからなる物質の相対質量を〔 式量 〕という。分子量や式量は分子式や組成式に含まれている元素の原子量の総和となる。このとき用いられる原子量は与えられる。

例)CO2H2Oの分子量 原子量:H1.0C12O16 

CO2の分子量 = Cの原子量 + Oの原子量×2 = 1216×2 = 44 

H2Oの分子量 = Hの原子量×2 + Oの原子量= 1.0×216 = 18

 

例)NaClCa(OH)2の式量 原子量:H1.0O16Na23Cl35.5Ca40

NaClの式量 = 2335.5 = 58.5 

 Ca(OH)2の式量 = 40(161.0)×2 = 74

 

例題 次の物質,イオンの分子量または式量を求めよ。

原子量 H=1.0C=12N=14O=16S=32Na=23Al=27S=32Cl=35.5 Fe=56

 

(1) 硫酸H2SO4  (2) グルコースC6H12O6  (3) 鉄Fe  (4) 硫化物イオンS2 

(5) アンモニウムイオンNH4 (6) 硝酸イオンNO3 (7) 硫酸アルミニウムAl2(SO4)3

(8) 炭酸水素ナトリウムNaHCO3 

 

 (1) 98 (2) 180  (3) 56  (4) 32  (5) 18  (6) 62  (7) 342 (8) 84

  イオンの+,−は考えなくてよい。